実は前職(=お笑い芸人の仕事)でも一部リモートを取り入れることを推進したことがありました。
具体的に言うと、ネタ作りのリモート化を目指して、「ペーパーレス化」「クラウド上でのネタ台本の管理」「リモートmtg」などを実施しました。
普通にスマホは普及していたので、iPhoneでネタ作ってそのままクラウドで共有、みたいなことは、それほど特異だったわけではないですが(とは言え、ノートに書きなぐりとかが過半数だったし、中には台本作らないってコンビとかもいたので、まぁ割とIT芸人でした)、リモートmtgは当時はなかなか攻めた試みだったと思います。
ネタ作りのリモート化・背景
ネタを作る際には必ず
- ボケやアイディアをブレスト
- アイディアをグルーピングしてプロットへ落とし込み
- プロットに沿ってダイアローグ化
のような作業をしていました。
厳密に言うと、すべての作業で、プチブレストを行いながら進めていき、採用となったものをドキュメント化していきます。これをリモートで行おうという試みです。
リモート実施の背景としては、
なぜか頑なに新宿でのネタ作りを譲らなかった相方に合わせ、片道1時間半の電車移動、昼夜逆転の夜勤バイトをこなしつつ、生まれたての長男の育児手伝いで睡眠時間が3時間程度、という、がんばれ日本のサラリーマン!みたいなひじょーにブラックな芸人生活を送っていたので、
「ちょっと無理っす、リモートワーク取り入れましょう」、てな感じで働き方改革を進めたイメージです。
結果から言うと、てんで巧く行かず、頓挫しました。
ネタ作りのリモート化・顛末
何が起こったか?
リモートネタ作りのプロセスですが、
- 各自ネタのアイディア複数個起案(付随するボケも)
- 起案したネタのアイディアをドキュメントベースでクラウドにて共有
- そして各々それを確認し、それを元にリモートミーティングを開催
通常はネタづくりのミーティングで、さらに追加のアイディアを出し、原型がそのまま残らないことも多々あるくらい2転3転させて、ネタを膨らませていきます。
しかしリモートに変えた途端、そのミーティングがどうも巧く行かない。
発言機会が減るし、集中も拡散もしないボンヤリとした状況が続き、とても停滞したミーティングが何度も実施されました。コミュニケーションに飛躍が生まれなかった。
そして出来上がったネタも、広がりが出ずに弱いものになってしまいました。
リモートワークだからこそ必要なこと
なんでなのか?
この文脈でBossからこんなことを言われています。
雑談のための時間を設けろ
Bossは通常業務において、雑談化するようなミーティングは徹底的に排せと云う思考ですが、リモート時において1to1で接する機会が極めて少なくなる状況においては、むしろ積極的に「雑談」としての時間を取ることを推奨します。
全社リモートになり、オフィスに行かないと何が起こるかというと
コミュニケーションがオフィシャルなミーティングやコミュニケーションツールでの短文に限定されるため、
- コミュニケーションが垂直方向のものに偏り、仕事と仕事が繋がりにくい
- 水平的なコミュニケーションが取りづらい
- アイディアが繋がりにくくなる
- 「報告」からこぼれる情報がとりにくい
- 裏での「調整」による仕事の進捗が起こしづらい
- 水面下で起こっているあれこれが感知しづらい
こんな弊害が起こります。
であるが故に、意図的に「雑談」として時間を作り、そこで情報を取ったり繋げたりする時間に当てることを推奨します。
「時間を取ってリモートで雑談」。
これはこれで結構難易度が高いのですが、これの導入によって表では見れない情報のキャッチや、別の仕事からアイディアを広げることが出来ています。
まとめ
芸人活動におけるリモートワークの導入は、「コミュニケーションが垂直方向のものに偏り、仕事と仕事が繋がりにくい」に起因していました。
アイディアをドキュメント化し、事前に共有するという試みで、一部生産性は上がり、以後もこっちに関しては採用しましたが、仕上げの部分のアイディアを生む雑談コミュニケーションが作れなかったイメージです。
今になってみると、ネタ合わせは、課題解決の為のロングミーティングに性質が近いため、ここに雑談を持ち込むことは可能だったと思います。
ですので、振り返ると、ファシリテーションスキル(やミーティング環境の整備)で解消できる事象な気もします。
ただ、そうそうロングミーティングも開催できませんし、リモートでの実施はなかなかハードルが高いと思います(コンビや、統制の取れたチームだと話が違うかもしれませんが)。
より仕事を律する必要のあるリモートワークのタイミングに、あえて「雑談」を導入することで、仕事を進捗させる。
結構おすすめです。
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